●おいしさは田の風土で決まる。
風土とは土壌+気候+栽培者である。
この3つの条件が満たされることによりおいしい米が作られる。
フランスにテロワールという言葉があるが、作業をする人間が風土であるという意味。例えばあれだけワインの畑がありながら、銘醸地として名を知られ続けるためにはテロワールの努力があるからだとされる。
日本の米つくりも同じ。有機栽培米や特別栽培米は作業をする人の愛情と努力なしにはできないのだから。その手間ひとつひとつがおいしいお米となっていく。
●安全・安心とは
残留農薬の危険性、地球環境など社会が抱える不安と、イタリアのスローフード運動、アメリカのロハスなどにも影響され、農薬や化学肥料に頼らない安全で安心のできる食べ物を一般の人々も望むようになってきた。有機栽培米や特別栽培米が認知されているということだ。また、「有機農業推進法」が議員立法で成立・施行されたことなどから、有機栽培もこれからもっともっと増えていくものと思われます。
だって農薬も化学肥料も使わないで自力で育った食物って、本当においしいんです。しかも安全だし、それって安心でしょう。食べ物は安全・安心が第一なのですから。
●有機栽培とは
有機農業は自然環境の保全、人間や食品の安全性にとって大事だが。
有機栽培・・・野菜や米は、2年以上(果樹は3年以上)無農薬・無化学肥料で栽培した田畑で収穫された野菜や米に対し、有機JASマークを付けて有機栽培とする。しかも、国が認定した機関の認可を貰わなければ有機の表示はできない。
2001年4月から表示を義務化している。違反すれば最高50万円の罰金。
この制度は小さな質のよい生産者にとっては結構きついものだそうだ。
こんな制度が出来る前から自分のところの野菜は有機栽培だ、という小さな質のよい生産者は困っている。というのも、これからは国の認定を受けなければ有機とは名乗れない。認定を受けるには相当のお金がかかるらしい。認定期間は1年で、翌年には更新のためまた検査を受けなくてはならない。有機栽培米がめちゃ美味しくって、価格も高いのに、すぐ売り切れてしまうというのならいいけれど、そうでないのなら負担が増えただけで更新はしない。という農家もでてくるかもしれない。
良心的な生産者にとっては厳しい制度でもある。
作家であり栄養士でもある丸元淑生氏は「百姓になりたい今関知良著」の後書きに、無農薬・有機(無科学肥料)農業についてこう書いている。
「有機農業は栄養学の立場からいえば、作物が台地から吸い上げた30近い必須ミネラルを全部大地に戻してあげる農業である。植物にとっての必須ミネラルは動物にとっても必須ミネラルなので、われわれがそれらを過不足なく適量摂るには、有機農業による作物を食べなくてはならない。
しかし、化学肥料は数種類の必須ミネラルを大地に戻すだけなので、その農業による作物は、われわれを養えないだけでなく、作物自体も養うことができない。だから、弱い作物になり、虫に対する抵抗力もなくなるため、科学肥料による農業は、必然的に農薬(殺虫剤)なしではやっていけない農業になる。
無農薬農業は、ただ農薬を使っていないという消極的なものではなく、われわれを養ってくれる十分な栄養を持った強い作物を作り出す農業なのである。」
否定はしないがこんな例もすでに出ていると注意するのは、「美味しさの力」の著者である農業者・永田照喜治氏。
「害虫や余分な雑草を除去するために農薬は使われます。しかし、その害は農薬を散布する人にも現れるし、食べ物のなかにも残留し、食べた人にも悪影響を及ぼすので使わないにこしたことはありません。生産する人にとっては難しいでしょうが、農薬はできれば使わずにが原則です。
化学肥料(無機質肥料)を使わないはつまり、有機質肥料を使えということですが、これがまた難しい。確かに有機質は自然界のサイクルにのっとる上で有意義だし、エコシステム(秩序)を保つので、何となく美味しいなと、変に納得させるものを持っているのですが。
しかも有機質肥料は自然のサイクルだから害がないと思うでしょうが、そうはいかない。オーガニック先進国では、未完熟(発酵や分解などがすんでいない)肥料は、発ガン物質である硝酸塩を発生させるなどの理由で使用が禁止されている。また、過剰にやり過ぎた有機肥料は田畑から流失し、河川を汚し藻を大量に繁殖させて魚の生態系に悪影響を与えている国がすでにもうある......とも。安全は難しいでしょう。
●特別栽培米の表示
無農薬栽培米、減農薬栽培、減化学肥料栽培米など言葉の違いは何。
特別栽培米
これまで特別栽培農産物は、無農薬栽培米・・・化学肥料や土壌改良剤は使用していても、農薬を使わないで栽培された米。無化学肥料栽培米・・・農薬や土壌改良剤は使用していても、化学肥料を使わずに栽培された米。減農薬栽培米・・・前作の収穫後から今回の収穫までの間に農薬の使用量が普段使われている量のおおむね5割以下で生産された米。減化学肥料栽培米・・・前作の収穫後から今回の収穫までの間に化学肥料の使用回数が普段使われている量のおおむね5割以下で生産された米。と分類されていた。
平成16年4月より、化学合成農薬の使用回数が50%以下。化学肥料の窒素成分が50%以下で栽培されたものということになった。
●おいしさの基準
でんぷんとタンパク質の含有値が低い方が美味しい。
普段食べなれているお米のジャポニカ種(日本型稲)は粒が短く円形に近く、炊くと粘りが出るのが特徴。この粘りがうまみにつながっている。また、つやとか香り、口に含んだ時の歯ざわりなども美味しさの基準でもある。
もう少し科学的に分析すると、米の主成分は水分、タンパク質、脂質、ミネラル、でんぷんでできていますが、この中でも美味しさを決定するのがでんぷんとタンパク質。
でんぷんはアミロースとアミロペクチンという二つの成分があり、このうちアミロースの含有値が少ないほど粘りがあって美味しい。同時にタンパク質も含有値が低い方が美味しいということがわかっているのです。
しかし、外国では粘りのないインディカ種(インド型稲)のほうが美味しいとされているるようで、美味しさの基準は国によって違い、人によってもまた違うものだから、なかなか判断基準は難しいものがあります。
機械による客観的な判断
最近ではお米も科学的に美味しさが解明されており、それを計る機械(食味と関係の深い水分、アミロース、タンパク質などの量を測定する食味計)などもできて、客観的に美味しさの基準をだすことができるのだそうです。
ちなみにコシヒカリのアミロース値は17%、タンパク質は8.4%。普通米ならば20%前後。インディカ種はほとんど25%以上ある。
こんなデータをもとに今全国各地で美味しいお米を作る研究がされている。コシヒカリだって安穏としてはいられないのだ。
品種は同じでも産地によって味は違う。
ワインのようにランキングされている
いま美味しいと言われているコシヒカリは全国的に栽培されている。でも同じ銘柄でも、そのお米が作られた場所つまり産地によって味は違うということを知っているだろうか。コシヒカリといえば新潟県のもの。その品種を同じ県内で作っても、厳密には味が違う。魚沼産のコシヒカリといえば一級品だが、さらに南魚沼産のものといえばもうひとつランクが上がり、価格もそれなりに高くなる。南魚沼は特A地区なのだ。魚沼はA地区。さらにB~E地域まで細かく分けられているこれはもうワインの畑と同じ状況ですね。何々県のどこ地区の誰々さんの畑というようなもので、さらには気候との関係でビンテージイヤーものなんていうのがお米にもあるかもです。(お米やさんには全国のこうしたランキング表がある)。同じ県でもこれだけのランキングがあるのだから、気候条件や緯度、海抜などが違う他県で栽培したコシヒカリとはおのずと違うと予想がつくというものです。
でもこれまたワインと同じですが、美味しい畑に隣接している所というのが当然あるわけで、ここは大体美味しいといわれる。けれど、ランキングではだいぶ下がるという現象もあるので、難しい部分もあります。
評価は誰がするのか
何でもそうですが、ものを市場に出す時にはある評価がされます。お米もその例にもれず、品種、等級、産地、生産年度によって決められています。さらにこうした細かなお米のランキングを決めるのは、お米を多品種、大量に扱った経験豊富な専門家の判定によるものです。
今の所はコシヒカリが人気だが、油断するとササニシキのようにランクダウンする。美味しいお米は日本全国で研究されているのだから。
●産直で純米を手に入れる
生産者の田んぼからとれたお米でブレンドをしていないもの
全国で美味しいお米を生産している農家は沢山ある。→全国おいしい米生産者
昼と夜の温度差がある気候。山から清流が流れている地域。豊かにお米が実る土壌。そしてお米に対する生産者の愛情と努力。などさまざまな条件が重なり合ってお米は作られている。それは本当にうまい。旨みが全然違うのだ。これを純米(ブレンドしていない米)と呼びたい。
しかし、こうした美味しいお純米も、通常の流通では最終的にブレンドされ、店頭に並ぶことになる。そこでは単なるコシヒカリとかあきたこまちといったブランド名でしか、取引されなくなる。
これはもったいないことですよ!
究極の楽しみは純米。
お米屋さんやスーパーでお米を買う場合には、どうしても流通が関わるので絶対といっていいほど、ブレンドされたお米しか手に入れることはできない。
しかし、生産者は美味しいお米を食べている。あるいはあそこの○○さんのお米は無農薬で安全、しかも旨いと聞けば、それが食べたくなるっていうのが人情(欲望かな)でしょう。そのブレンドされていない純米を手に入れる。これはもう究極の楽しみですよ。
どうすればいいのか。簡単です。直販してもらえばいいのです。
しかも、ワインのように美味しいとなれば、値段もそれに比例どころか倍々に高くなるというわけではなく、1kgが500〜700円。これに宅配の料金がプラスされるだけで手に入れることができるのです。
毎日食べるご飯だからこそ、ささやかな贅沢をしたいと思うでしょう。
●おいしい米の追求
単位収穫量からおいしさ追求に移ったのは昭和の後半から。
耐寒性の強化と単位収穫量の向上を目指して品種改良が続けられてきた。その結果、東北地方や北海道は米の大産地となった。量の確保からおいしさの追求への変化は、自主流通米制度ができてから。
いいぞ北海道
「北海道の米はまずい」というのが定評だった。何故かというと。稲の実が充実していく時期に温度がさほど上がらず、アミロース含有量が高くなってしまうからというのが分かった。そこで北海道の農業技術者は品種改良をし、アミロース含有量が20%以下の「ゆきひかり」をつくり出した。これは本州産の銘柄米と遜色のないものになった。それをさらに改良したのが「きらら397」。1980年に始まったこの品種の改良はコシヒカリを祖父にもつしまひかりと道北36号の交配。8年後に上育397号が誕生。しかし、名前が良くない。××ニシキ、◯◯ヒカリなんてお相撲さんみたいな名前は止めたいという条件で公募。決まったのが、きらら+397の「きらら397」。北海道の米づくりは大規模経営で価格が安く味も美味しいと、外食産業から引っぱりダコらしい。
そしてさらに、アミロース含有値が通常品種の半分くらいという「彩(あや)」が誕生している。これは旨いぞと期待されている北海道米だ。
美味追求は全国各地で開発されている
こうした開発の努力は何も北海道に限ったことではなく、全国各地で行われている。例えば一時期全国を制覇した宮城県のササニシキ。いろんな土壌や気候に適応しにくく、美味しさで横綱の座を獲得したけれど、今は前頭まで転落。そういう状況の中で、次に改良され91年に市場に登場した「ひとめぼれ」は1998年度には全国作付けベスト20の2位に入るという大健闘である。秋田からは84年に登場した「あきたこまち」。九州でも熊本県から「ヒノヒカリ」。などなど。まだまだ少量生産だからランキングされていないけれど、美味しいお米があるはずだ。これからも新しいブランド米が続々と出てくるに違いない。
●ブレンド米
A米とB米をブレンドして美味しいC米を作る技
ウイスキーを好きな方ならご存じと思うが、ほとんどのウイスキーはモルトとグレーンという原酒をブレンドしてつくられたものである。このブレンドの技がウイスキーの出来を決めるといってよい。もちろんモルトだけ、グレーンだけでも十分美味しいのだが(シングルウイスキーという)、ブレンドすることによってさらに違った味を作りだす(ブレンドウイスキー)。
お米もこれと同じことが、お米屋さん(あるいはスーパーなどに出す精米所)でもおこなわれている。
同一県の同じ 銘柄米でも味は違っている。
「コシヒカリ」あるいは「ひとめぼれ」というブランド米なら全国どこで栽培されたものでも同じ味かというと、そうはいかないのである。気候、土壌、作り手が違えば当然のことながら味も違う。それは全国でなく、同じ県内でも言えることで、○○県のコシヒカリと一言でいっても味は月とすっぽんほどの差があることもある。そこでコシヒカリというブランド米に味のばらつきが出ないように、各地域のお米をブレンドして一定の味を作りだしている。ブレンドするのはお米屋さん。大規模精米所など。そのため厳密には米屋によって味も微妙に違うといえる。
新潟産コシヒカリといえば、新潟県全域の田んぼで摂れたコシヒカリをブレンドしたもの。新潟県魚沼産コシヒカリならば、新潟の魚沼という地域の田んぼからのコシヒカリのブレンド米。新潟県南魚沼産コシヒカリといえば、魚沼の中のさらに限定した南魚沼という地域の田んぼからのコシヒカリをブレンド。もっと絞って、南魚沼郡大和町産コシヒカリとなると、南魚沼郡の大和町というさらに限定した地区の田んぼから収穫されたコシヒカリのブレンド米を指す。
地域がどんどん限定され、せばめられた地区からのブレンド米の方が、美味しいことは言うまでもない。もちろん、あわせて価格も高くなる。
これは新潟に限らず、日本全国どこでも同じことである。
政府が備蓄している「備蓄くん」というお米は、日本全国から集められたお米がブレンドされたものだ。
お米を買うときには、何県の何地域産なのかというところにも注意して銘柄を選ぶのはもちろんのこと、そのお米の精米をしているところやお米屋さんがきちんとした仕事をしているかどうかまで判断して欲しい。と思うのである。
●いつまで新米というか
新米はいつから古米になるのか
9月下旬からお米やさんやスーパーでは「新米入荷」のはり紙が張り出される。『ああ新米の季節きたり』とご飯党にとってはうれしい時期だ。さて、その新米は年が開けても新米というのだろうか。
原則は次の年の新米までをいうが
米穀年度という制度があり、これによれば11月1日から翌年の10月31日と定義されているので、次の年のお米が供給されるまでを新米とするということになる。しかしこれは制度上の原則であって、実際には秋・冬・春を越して梅雨期になると味が落ちる。以前は虫が付いたり、カビが生えるのでクロルピリンという薬で燻蒸をしたのもこの時期。業者間ではこの時期以降を古米化といった。
味が落ちる原因は。第一にお米の水分が低下し炊いても粘りの少ないご飯になる。お米に含まれる脂肪酸が劣化し特有の臭い(アセトアルデヒド)を出すようになる。
最近はお米の保存方法が低温貯蔵になり、以前ほどの劣化はなくなった。
古米だって美味しい
新米が美味しいのは、白く炊くご飯だからであって、粘りが少なくさらりと炊きあがる古米はお鮨やピラフ、チャーハンには具合がよい。と白飯以外の料理を出すレストランやお鮨やさんではブレンドした美味しい古米を米屋から届けさせるらしい。
●賞味期限
お米には賞味期限が書いてないけど、食べどきは。
常温で結構長い間保存しておけるので、お米は生ものではないと思っている人が多けれど、お米も生きもの。だから時間とともに劣化していくのです。ほとんどの食品には賞味期限が書いてあってわかりやすいのに、お米にはそれが書いてありません。でもやはり美味しく食べる期間ってあるのです。
新米と収穫前8月のお米では味が違う。
米は一年周期で春に作付けして秋に収穫し、次の新米が出るまではそのお米を食べるわけですから、これを賞味期限とするかといえば、さらに前年のお米、前々年のお米というのもあり、保存のきく食料品であることは確かです。しかし、実際には一年間で食べるのが普通。
「新米はおいしい」とよくいいますが、この10月の新米と年が開けてからの3月、4月、そして7月、8月では味は劣化しています。これは時間経過による温度や湿度の変化ためで、少し前までは梅雨後のお米を古米といったほどです。しかし、現在は温度を15度以下、湿度は70〜80%と一定にし玄米の状態で低温保存技術が普及し、極端な味の劣化はほとんどありません。とはいっても、これは家庭に来るまでのお米の状態ですから。
精米されたお米は、家庭での保存状態によってはそれこそ梅雨の時期以降に、極端な味の低下がなきにしもあらず。
夏は10〜14日位が目安。
家庭内でのお米の保管場所といえば、それはキッチン。直射日光は入らず、まあ風通しもよく、作業動線から考えたってここしかない。密閉できる容器にし、3回に1回は米を入れる前入れ物も洗いたい。これで大丈夫です。
冬は温度が低いので、1ヵ月から1ヵ月半くらいは保存しても大丈夫。ところが温度の上昇が始まる4月頃から6月までは約1ヵ月。7月以降は10日から2週間位の期間で食べ切る量を買うようにする。しかもできれば冷蔵庫の野菜庫で低温で保存。
どの家でも1ヵ月に食べるお米の量は大体決まっているでしょうから、8月から新米の出る10月までは半分の量だけ届けてもらうようにしたい。
なに!5kgだとお米屋さんが届けてくれない。そんな商売不熱心な米屋は変えておしまいなさい。
スーパーでもコンビニでも、2kgより5kg。5kgより10kgの方が安く買える。そりゃちょっと考えますね。難しい問題だ。それは美味しさを優先させるか、経済を考えるかよく熟考して決断して欲しい。
そしてお米の賞味期限は記載されていないけれど、精米年月日は書いてあるのでこれは要チェックです。1週間も経っているようではあまり売れていないお店と判断します。
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